日本古病理学研究会設立趣意書

 自然人類学における研究手法はますます多様化し、原始・古代における人類史の解明は新たな転換点に差し掛かっていると申せましょう。古病理学は、自然人類学の一領域として明治期以来の伝統を持ち、古病理学的研究により得られた知見は、原始・古代におけるヒトや動物の栄養状態・生活環境・衛生状態などを明らかにしてまいりました。今後は、東アジアや日本列島へのホモ・サピエンスの移入に伴う疾病史、さらには国家形成にも関わったであろう新興感染症の解明にも大きな役割を果たしうると考えられます。古病理学の更なる発展とその学問的貢献は、自然人類学分野にとどまらず多くの学問領域で、その成果が待たれるところであります。 しかしながら、日本における古病理学の一般への普及はいまだしの感を拭えず、古病理学を専攻する研究者も欧米と比較致しますと極めて少数で、若手の育成も充分とは言えません。このような現状に鑑みて、あらゆる世代の方々との積極的かつ進歩的な議論や情報交換の場を提供するとともに、定期雑誌の刊行を行い、古病理学の更なる発展を期して、「日本古病理学研究会」を設立する次第でございます。 自然人類学や動物考古学をご専門とされる研究者の方々、古病理学に関心を持たれる各界・各領域全ての方々に、本研究会設立の趣旨にご賛同賜り、是非ご入会下さいますよう、謹んでご案内申し上げます。